「言いたいこと、いっぱいあるけど」

「お前、今聞こえてないもんなぁ……」

「あ、でも、俺の記憶も残るから、後で思い出してくれるかな?」

「思い出してくれたら、嬉しいな」

「……時々、思い出して、な」

「へへ、なんか恥かしくなってきた」

「皆に何て言おうかな」

「ん?この場合、何て言ってもらおう、なのか?」

「うーん、ややこしいっつの!」

「……まあ、上手く言ってやってな」

「多分、上手く言えないと思うけど」

「其処等へん、俺もお前も下手だからなあ」

「なあ、」

「……返事、しろよな」

「無理だって、解ってるけどさ」

「俺、もうすぐ消えちゃうから」

「……死んでちゃ、出来ないか」

「でも、俺嬉しいよ」

「お前が生きてくれる」

「多分、大変だと思うけど、頑張ってな」

「あ、お前が負い目感じる事無いからな!」

「……って、ちょっと在り得ないか」

「負い目に感じるなよ」

「俺、全然悲しくないし、辛くないし、苦しくないから」

「そりゃあ、生きたいけど」

「……お前から奪った分、生きたから」

「奪ってない分まで、生きたくないからさ」

「これ以上奪いたくないから」

「お前がルークって知ったから、もう十分だから」

「今までごめんな」

「ありがとう」

「こんなんじゃ、足りねえけどな」

「ありがとう」

「俺が生きてたの、許してくれてありがとう」

「お前のおかげだから」

「生まれたのも」

「七年生きれたのも」

「お前がいたから、だから」

「たくさんお前のこと傷つけたし」

「たくさんお前から奪ったけど」

「でも、……それでも、ありがとう」

「奪った事も、傷つけたことも後悔してるけど」

「生まれた事も、生きていた事も」

「今は誇りに思ってる」

「……今更だけどな」

「……、見えてないよな」

「……、泣いてもばれない、かな」

「……、ごめん」

「勝手、だけど」

「俺、いきたくない」

「お前の傍に、居たい」

「お前が嫌だって言っても、居たいんだ」

「ごめん、っ……」

「…………やべ、ちょっと感覚なくなってきた」

「話戻すけど」

「って話聞いてないんだっけ?」

「ああもうっ、ややこしいな!」

「と、とにかく!」

「俺、お前の傍に居たいからさ」

「お前が嫌がっても、お前に戻るの、すっげえ嬉しいんだ」

「いきたくないのも、本当なんだけど……」

「俺自身で、傍に居たいんだけど……」

「……俺自身は消えちまうからな」

「それでも、お前と一緒に居られるから」

「だから」

「……、だから何だろ……」

「しまった、わかんなくなった」

「うーん、……やべえ本当に何言いたいんだろう俺……」

「うう、後で馬鹿にされそう」

「……いいや、お前、代わりに考えろよ」

「俺の気持ち、よく、わかんねえから」

「名前………は、わかってるつもりだけど」

「言ったら勿体無いからな」

「……、もう限界、みたいだ」

「ありがとう、な」

「ごめんな」

「一緒に帰ろう」

「俺の居場所は、きっと此処しかないけど」

「ルークの居場所は、其処だよ」

「一緒に帰ろう」

「俺がお前の処に行くから」


「ただいま―――ルーク」








 ―――っ!

 飛び起きて、手を伸ばしても。
 空を掴むばかりで、何も手に出来なかった。
 何度も何度も、こんなことを繰り返して。
 それでも、毎日を過ごして、生きている。
 約束に縛られているようで。
 真綿のようなくすぐったさで。

「……、いい加減に、しろ」

 いつまでこんなことを続けるつもりなのか、自分に聞きたかった。

( I loved you all my life for long time )


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