冠省
貴職の平成16年2月20日付通知書に対して、次のとおり回答致します。
- 確かに、全国フォレックスジャパン投資家救済の会は、株式会社フォレックスジャパン代表取締役許田明炎と平成16年1月29日に合意書を締結して,
同社から当会の活動資金として金5075万円の引き渡しを受けました。
- 全国フォレックスジャパン投資家救済の会hは、株式会社フォレックスジャパンを介してユニライン社と為替マージン取引をした投資家被害者が集まって、ユニライン社の破綻の原因、多額の投資金の行方などの真相究明とより多くの投資金の返還を目的に、平成15年12月23日に立ち上げた組織です。
- 当会としては、真相究明のために、台湾当局に刑事告訴をするとともに、12月25日の突然の當真弁護団の退任後は、ユニライン社の代理人である呉弁護士のもとに保留されている31.8%の投資金の返金要求作業を担当することになりました。これらの責任を果たすためには、会の事務局体制を整えるとともに、国内の弁護士及び台湾を始めとする海外の弁護士にも委任をして共同で作業を進めていく必要がありました。これらの当会の積極的な活動のためには当然に活動資金が必要になってくるところ、この活動資金をどのように調達するかという点について、発起人会などで協議致しました。
- その結果、ユニライン社が破綻した経緯や7割の投資金の行方に関する説明義務を果たせず、かつ、保留されている残金の返金作業について最後まで責任を果たせない株式会社フォレックスジャパンにせめて費用を負担させるべきであるという結論に至りました。つまり、株式会社フォレックスジャパンが本来投資家に対して果たすべきことを当会が引き受けて遂行する代わりに、株式会社フォレックスジャパンが当会の活動費用を負担すべきであるということです。また、投資家の多くから、ただでさえ為替マージン取引の破綻により多額の損失を被っているので、新たに出金を伴う活動費用を負担したくないという強い要求もあったこともその理由となっています。
- そこで、当会は、活動予算書を提示して、株式会社フォレックスジャパンの代表取締役である許田明炎に対して、当会の活動費を負担するよう要求しました。この予算書は、許田明炎の代理人である當真良明弁護士にも送付して検討してもらっております。数回の交渉の結果、金額を調整した上で、当会に引き渡す金員を5075万円とする合意に達したので、平成16年1月29日に合意書を作成して、当該金額の引き渡しを受けております。この合意の法的性質は一種の無名契約であって、私的自治原則からして有効な合意であることに間違いはありません。既に、この時点で当会の活動費も支出しており、許田社長はこの内容も十分に了解していました。
- この頃には、当会は台北の呉弁護士との間で、保留されている31.8%の投資金の返還要求をしておりました。このユニライン社の代表者や呉弁護士との返還交渉に際しては、台北津師公会所属の邱弁護士にも委任をして共同で活動を始めておりました。株式会社フォレックスジャパンの代表取締役許田明炎も、この保留されている31.8%の投資金の返金交渉について交渉の場に同席する等して、当会への一括返金の要求を一緒になって行っていました。
- そして、数回にわたる粘り強い交渉の結果、平成16年1月31日に、ユニライン社に残っていると言われている投資金のうち、未送金となっている残金1983万315ドル94セントを当会に一括して送金し、当会及び弁護団が責任をもって返金作業を行う旨の合意書が作成されました。
- このような状況において、呉弁護士から受領した投資金を投資家に送金するためには、
顧客名簿が必要であります。そこで、返金作業を進めるために株式会社フォレックスジャパンが保管している投資家名簿を引き継ぐことになりました。その際、当会会長及び弁護団弁護士を始め、この返金作業等に携わる者全員が、投資家のプライバシーを守るために許田明炎社長に対して「秘密保持誓約書」に署名して提出しています。
- 呉弁護士からも、送金済みと未送金の区別をした投資家名簿を引き継ぎました。ところが、この呉弁護士から引き継いだ投資家名簿により引き継ぐべき投資金額を当会で計算して確認したところ、合意書の金額とは一致しないことが判明致しました。そこで、金額の不一致について呉弁護士に照会して再度チェックするよう要求していました。
- ところが、呉弁護士からはこの点に関する回答がなされない状態が続きました。そこで、その原因を確認してみたところ、既に行っていた刑事告訴の効果があって、ユニライン社の役員らが、台湾当局から出国禁止命令を受けて香港に移動できなかったことから
感情的になって呉弁護士が当会に送金することをストップさせていることが判明しました。
- そこで、当会の代理人である邱弁護士らが、ユニライン社の役員や呉弁護士を説得して、なんとか約束の1983万ドル余を送金させることができ、平成16年2月23日には当会の指定した銀行口座に着金をしていることが確認できました。この説得交渉について、許田明炎社長も積極的役割を果たしています。
- 2月23日の1983万ドル余の着金を確認した後、早速、事前に銀行側と協議していた体制で、返金作業を始めたばかりです。返金作業は、円建てとドル建てがあり、円建送金は基本的には数日内で終わりますが、ドル建て送金は、約3週間くらいかかる予定です。さらに、呉弁護士が送金したが書類不備で日本国内の銀行に保留されたままの投資家が20数名おりこれらの投資者への返金についても当会で責任をもって返金作業をする予定になっています。さらに海外の銀行への送金を希望されておられる投資家や、連絡がつかない投資家も残っています。これらの返金作業は、当会が責任をもって行わなければなりません。
- 当会としては、當真弁護団から返金作業を引き継ぐときに、投資家を平等に扱って欲しい等の申し送り事項を受けて、これを尊重してこれまで一生懸命になって作業を続けてきたつもりです。株式会社フォレックスジャパンは、投資家との関係では加害者であるが、ユニライン社との関係では被害者的側面もあり、ユニライン社の破綻の原因や投資金の行方等の真相究明とより多くの投資金の返還実現という目的を共有できるところはあるので、立場の違いは明確にしながらも協力できるところは協力するという考えでこれまで一緒に協力して活動して参りました。
- 当会は、これまでの活動費用は、受領した金5075万円から既に相当額支出しており、その具体的明細を株式会社フォレックスジャパンの鈴木税理士に報告しております。株式会社フォレックスジャパンの許田明炎社長は、これまで当会に対して一度たりとも引き渡した金員の返還を要求したことはありません。
- これから呉弁護士から受領した投資金1983万ドル余を31.8%未返金の投資家に返金するという重要な事態に至って、何故に会社の経営方針が全く逆転するのでしょうか。いままでの株式会社フォレックスジャパンが仲介業者として果たしてきた役割を自ら否定するばかりか、仲介業者としての責任を放棄する態度に出る理由がどこにあるのか私達には全く理解できません。
- 当会から活動費用の負担の要求をしたときに、当会弁護団に委任状を送付している3800名余の債権者とは別にも投資家がいることを前提に、当会が株式会社フォレックスジャパンが保有している預金の全額を受領するのではなく、必要最小限にとどめ、しかも、当会の活動の成果は全投資家のために役立て、共益費用として使いたい旨の申しいれして、了解を頂いています。
- 貴職は、この経緯を知っていますか。当会としては、活動費として金5075万円を渡して実際に積極的に活動をさせておきながら、活動の成果が出るや、突然に今度は渡した活動費全額の返還要求をするという信義則に悖るような矛盾した主張は、貴職のミスリードではないかと判断しております。双方、弁護士が関与して締結した合意書に基づいて引き渡した金5075万円の返還要求について、
再度検討して頂きたい。
- 貴職が当会に返還要求する法的根拠は何でしょうか。詐害行為取消権は、株式会社フォレックスジャパンに対する債権者が訴えをもって主張できる権利であり、破産法上の否認権は、破産宣告後に破産管財人がとるべき法的措置です。従って、株式会社フォレックスジャパンがこのような法的主張をすることはできません。さらに、貴職の主張される破産原因は何でしょうか。株式会社フォレックスジャパンはユニライン社とは共犯関係にないと主張しているのに、何故に、損害賠償義務があるというのでしょうか。真相が究明されず、投資家の多くが未だ損害賠償請求訴訟を提起しない状態では、損害額も明確になっていません。現在の株式会社フォレックスジャパンには債務超過という破産原因があるかは疑問です。
- 当会の今後の活動の重大性を考えますと、このような揚げ足取りの対応は改めて頂きたい。仲介業者として、株式会社フォレックスジャパンがとるべき法的、道義的責任のあり方について、再度、原点に戻って再考して頂きたい。貴職と同じ開事務所に所属する天方徹弁護士やもと株式会社フォレックスジャパンの弁護団長當真良明弁護士、他の投資家から委任を受けた三宅弁護団に対する気遣いは不要です。株式会社フォレックスジャパンが、詐欺行為をしていなかったと主張するのであれば、真相を究明し、より多くの投資金の返金実現のためにこれまでと同様に役割を果たして頂きたい。これらの道義的、法的責任を放棄して、破産に逃げ込むことは投資家被害者としては断じて許すことはできない。
- 以上の理由から、当会としては、とうてい貴職の要求には応じられません。