それは条件反射のように行われる。
 顔を合わせれば憎まれ口を叩き、二言目には罵り合い。目を合わせれば臨戦態勢。間合いを取れば剣を抜く。
 娯楽と言っても過言ではない。邂逅から始まるそれらは、本当に何も成さないからだ。その結果も過程も、生産性などこれっぽっちも具えていない。ただ戦った数と、黒い星の数と白い星の数がぐらぐらするだけの、i殺伐とした娯楽のような逢瀬。
 安らぐわけも無く、癒しなど微塵も存在しない、ただただ――心が昂ぶる。
 一合打てば心が躍り、二号打てば血が沸き立つ。競り合いで睨み合えば、純粋な意地のぶつかり合いが他の全てを蹴散らしていく。
 望むのはその過程。そこには、自分も相手も、ほかのものがなくなる。その瞬間がたまらない。あらゆる柵もくびきも全て捨て去り、ただの個として存在するその瞬間。
 彼と対等に立つそのとき。

「あたしがあたしだけになる、その瞬間」

 だからこそ、代わりがない。